令和5年3月15日
「アベノミクスの完成」~安倍晋三元総理がやりのこしたこと~
講師
明治学院大学客員教授/前スイス駐箚特命全権大使/元内閣官房参与
本田 悦郎氏
クレディ・アグリコル証券 チーフエコノミスト
会田 卓司氏
目次
関連著書
安倍晋三 回顧録
知られざる宰相の「孤独」「決断」「暗闘」が明かされる 2022年7月8日、選挙演説中に凶弾に倒れ、非業の死を遂げた安倍元首相の肉声。なぜ、憲政史上最長の政権は実現したのか。 第1次政権のあっけない崩壊の後に確信したこと、米中露との駆け引き、政権を倒しに来る霞が関、党内外の反対勢力との暗闘……。乱高下する支持率と対峙し、孤独な戦いの中で、逆風を恐れず、解散して勝負に出る。この繰り返しで形勢を逆転し、回し続けた舞台裏のすべてを自ら総括した歴史的資料。オバマ、トランプ、プーチン、習近平、メルケルら各国要人との秘話も載録。 あまりに機微に触れる――として一度は安倍元首相が刊行を見送った、計18回、36時間にわたる未公開インタビューを全て収録。知られざる宰相の「孤独」「決断」「暗闘」が明かされます。 【財務省との暗闘・国内外要人との交渉など 本文より一部紹介】 「予算編成を担う財務省の力は強力です。彼らは、自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しに来ますから。財務省は外局に、国会議員の脱税などを強制調査することができる国税庁という組織も持っている。さらに、自民党内にも、野田毅税制調査会長を中心とした財政再建派が一定程度いました。(中略) 増税論者を黙らせるためには、解散に打って出るしかないと思ったわけです。これは奇襲でやらないと、党内の反発を受けるので、今井尚哉秘書官に相談し、秘密裡に段取りを進めたのです。経済産業省出身の今井さんも財務省の力を相当警戒していました。2人で綿密に解散と増税見送りの計画を立てました。」 (148ページ、「増税延期を掲げた「奇襲」の衆院解散」より) 「小池さんは、常にジョーカーです。手札の1から13 の中にはないのです。ジョーカーのカードなしでも、トランプの多くのゲームは成り立つのだけれど、ジョーカーが入ると、特殊な効果を発揮してくる。ある種のゲームでは、グンと強い力を持つ。スペードのエースよりも強い。彼女は、自分がジョーカーだということを認識していると思います。ジョーカーが強い力を持つには、そういう政治の状況が必要だね、ということも分かっている。」 (263ページ、「小池氏は『ジョーカー』」より) 「トランプは、国際社会で、いきなり軍事行使をするタイプだ、と警戒されていると思いますが、実は全く逆なんです。彼は、根がビジネスマンですから、お金がかかることには慎重でした。お金の勘定で外交・安全保障を考えるわけです。(中略) 米軍が2017年、日本海周辺に空母打撃群を派遣した時も、トランプは当初、私に「空母1隻を移動させるのに、いくらかかっているか知っているか? 私は気にくわない。空母は軍港にとどめておいた方がいい」と言っていたのです。 (294ページ、「史上初の米朝首脳会談へ 揺らぐ圧力路線」より) 【本書の目次】 なぜ『安倍晋三 回顧録』なのか―「歴史の法廷」への陳述書 第1章 コロナ蔓延 ダイヤモンド・プリンセスから辞任まで 2020年 第2章 総理大臣へ! 第1次内閣発足から退陣、再登板まで 2003-12年 第3章 第2次内閣発足 TPP、アベノミクス、靖国参拝 2013年 第4章 官邸一強 集団的自衛権行使容認へ、国家安全保障局、内閣人事局発足 2014年 第5章 歴史認識 戦後70年談話と安全保障関連法 2015年 第6章 海外首脳たちのこと オバマ、トランプ、メルケル、習近平、プーチン 第7章 戦後外交の総決算 北方領土交渉、天皇退位 2016年 第8章 ゆらぐ一強 トランプ大統領誕生、森友・加計問題、小池新党の脅威 2017年 第9章 揺れる外交 米朝首脳会談、中国「一帯一路」構想、北方領土交渉 2018年 第10章 新元号「令和」へ トランプ来日、ハメネイ師との会談、韓国、GSOMIA破棄へ 2019年 終章 憲政史上最長の長期政権が実現できた理由